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認定スクラムマスター(CSM®)研修の振り返り

プロダクト部UserGの熊本です。
2025年3月24日〜28日で認定スクラムマスター(CSM®)研修を受講してきました!
この研修はとても学びが多く有意義であったので、振り返りも兼ねて研修で学んだことを紹介できればと思います。

認定スクラムマスター(CSM®)研修とは

今回私が受講した認定スクラムマスター(CSM®)研修は株式会社Odd-e Japanが主催しているものでした。
この研修の受講状況に応じて適性が認められた場合に認定試験の受験資格が与えられ、その試験に合格すると認定スクラムマスターの認定証が発行されます。

私は5日間、合計30時間のオンライン開催の研修に参加しました。
研修の内容は、初日に講師の方からお題が出され、そのお題に対して参加者全員で議論するというものです。
その議論を進める中でスクラムマスターとして必要な考え方・振る舞いが求められるので、より具体的な事象を元にスクラムについて学ぶことができます。
私は普段 Developerとしてスクラムに参加しており、この研修を通してのスクラムマスターの考え方はもちろん、スクラムメンバーの一員としてスクラムの理念を実践的に学ぶことができたのがとても貴重な経験だったなと感じます。

研修を受講しようと思ったきっかけ

私達のチームではスクラムを用いて開発しています。ただ私自身スクラムというものを深く理解しないまま日々の開発を行っていました。
あるときチーム内の振り返りで、スクラムで行っている活動をもう少し効果的にできるのではないか?と疑問に持ったものの、そのときどのように改善するのが適切なのかわかりませんでした。
そのため研修の中でスクラムの理論から実践まで体験することで、スクラムをもう少し上手く活用できるのでは、と思い受講しました。

研修で学んだこと

今回の研修で特に私が学びになったと考えたことは以下のような事項でした。

研修で学んだことリスト

  1. スクラムは現状を把握するためのフレームワーク
  2. スクラムは計画駆動であり、活動は分析できる状態でなければならない
  3. 計画は綿密かつ複数立てることが定石
  4. レンジを意識した能力開発
  5. スクラムは千回伝えるゲーム

スクラムは現状を把握するためのフレームワーク

研修を受ける前はスクラムは、とりあえず前に進めながら日々改善していくフレームワークだと思い込んでいました。ただスクラムにおける目的は「現状を把握する」ということにあります。
スクラムガイドにも以下の記載がある通り、スクラムでは現状を把握するために4つのイベントが設けられていて、その中で問題を可視化し表面化された問題に1つずつ向き合って適応しようとする活動が重要になってきます。

スクラムでは、検査と適応のための 4 つの正式なイベントを組み合わせている。それらを包含 するイベントは「スプリント」と呼ばれる。これらのイベントが機能するのは、経験主義のス クラムの三本柱「透明性」「検査」「適応」を実現しているからである。

スクラムとは、スクラムの価値を理解して現状を把握するために努めることが重要で、スクラムを導入したからと言って自動的に何等かの問題が改善されることはないということです。

スクラムは計画駆動であり、活動は分析できる状態でなければならない

まずスクラムは計画駆動で考える必要があります。

何かしらの活動を「とりあえず」や「一旦」のように始めてしまうと、その活動が分析ができず、スクラムにおける検査、適応ができなくなってしまいます。
とりあえず行動に移すということはスクラムに反することで、その行動に移す前に何らかの狙いを持っておく必要があります。この狙いは必ずしも目的である必要はないようです。
目的がないことは分析できないことと同義ではなく、目的はなくとも狙いを持っていればその狙いに対して分析できます。

例えば、チーム内での関係性の構築・維持活動として、雑談の機会を設けるという活動をするとします。その場合何等かチーム内で合意するなどの目的はないにしても、親睦を深める、安心感・信頼感を醸成するなどの狙いを持つことができます。このような狙いを持って活動に移ることで、活動後本当に各チームメンバーの親睦は深まったのか、もっとその機会を増やすべきなのか、またもう少し違う活動として改善すべきなのか、など分析することができます。

ここで研修前の私のスクラムについての理解であった「とりあえず前に進めながら日々改善していくフレームワーク」は改めて間違っていたと認識することができました。
ただ単にやるのではなく、何かしらの活動をする前に計画を立ててその活動が分析できる状態にしておく、それが「現状を把握する」ことに繋がるということだと理解しました。

計画は綿密かつ複数立てることが定石

先ほどスクラムは計画駆動というお話をしました。
スクラムは計画駆動であるため、何かしらの活動をする前に必ず計画を立てて、計画通り活動を進める必要があります。
なぜ計画通りに進める必要があるのかというと、以下の2点があげられます。

  • スクラムチーム全体で共通理解を持つことができる => スクラムの理論にある「透明性」を実現
  • 不確実性の高い状況でも着実に価値を生み出すことができる => 安定的なインクリメントを実現

つまり計画通りに進めることは、共通理解を持つことで透明性を体現しつつ、インクリメントを安定的に出すことに繋がります。

しかし現実世界では計画通りに物事が進むとは限らないと思います。その中でスクラムでは計画を変更することなく、計画通りに進める必要があります。
ここで重要なのは、

計画は1つではなく、複数立てるべき

だということです。

そのため計画を立てる段階であらゆる可能性を見通し複数のサブプランを用意して準備しておくことが重要になってきます。
予め用意しておいたサブプランに変更することは計画の変更ではなく、計画通りであると捉えることができます。
なので、スクラムでは計画は綿密かつ複数立てるということを意識する必要があります。

実際にスクラムを運用する中で、スプリントの途中で計画を立て直すこともNGになります。ただ計画は常に絶対的なものではないので、スプリントレビューなどを通してその妥当性を検証し、適応に繋げて行く必要があります。

レンジを意識した能力開発

スクラムマスターは能力開発を支援する中でチーム、各メンバーにあったレンジを意識する必要があります。
チームに対して高い目標を設定して、そのための活動を行ってもチームが安定したアウトプットを出せるとは限りません。
そのためチーム状況に応じて最適なレンジに向かうような活動に導く必要があります。
自分自身もチームに対して安易に〇〇ができてないのは良くないのではないか、と疑問に持つことがあったのですが、本当にそれが現状のチームにとって必要なことか、意識する必要があるのだなと思いました。

また能力開発にあたっては、活動指標に着目することも重要だと知りました。
活動指標とは、直接成果に結びつくものではないものの成果に近づくために重要となる日々の取り組みです。
例えば、野球選手がホームランを打つためには筋トレが必要ですが、筋トレをしたからといってホームランが必ず打てるようになるとは限りません。しかしホームランを打てるようになるためには必要な取り組みです。これを推進していくのがスクラムマスターの腕の見せ所です。
安定させたからといって結果が出るわけではないが、それでもやる。そしてその活動の分析するということを徹底する必要があります。
活動に対して評価できる指標を予め定めておいて、活動後必ず分析する。ここでもスクラムは計画駆動であることが分かりますね。

スクラムは千回伝えるゲーム

スクラムを行う上で必要なFB力の1つに「繰り返し伝える」というものがあります。

「以前にも言った気がするんですが」や「ここに書いてありますよね」など1回で理解してもらえるという勝手な思い込みで発言してしまったことがあるかもしれません。
ただ人はそれぞれ異なる背景を持ち、情報を受け取るタイミングや状況も異なることは当たり前で、一度聞いただけで全てを正確に理解できるとは限りません。

スクラムでは情報を伝える側は100回でも1000回でも繰り返す必要があります。その姿勢こそが Scrum Valuesにある「尊敬」となり、スクラムの価値が根付いた強いチームに近づくのかなと思いました。

まとめ

今回受講した認定スクラムマスター研修は、正直かなりハードなものでした。
研修の中で日々スクラムマスターの考え方・振る舞いを学び、学んだことは忠実に再現することが求められます。
ただかなり負荷が高い研修ではあったものの、実践的にスクラムの価値に触れることでより解像度が高い状態で学ぶことができるので非常に貴重な経験だったなと思います。

学んだこととしては今回紹介した内容以外にもかなり多くのことがあったので、今後上手くチームに還元していければと思います。

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